「作品所感」は、スタジオで展示中の作家、ゲスト、コーディネーター等が展覧会について語るコラムです。
今回はインタビュー形式で作家の小松原優作さんにお話をうかがいます。
小松原 優作
Yusaku Komatsubara
筑波大学大学院 芸術学学位プログラム 在籍
──作品制作をはじめたきっかけ、また大学・大学院で専門的に学ぼうと考えたきっかけなどありましたら教えてください。
私は小学生のころ地元の絵画教室に通っており、日々、伸び伸びと楽しく絵を描いていました。中学に上がるタイミングで絵を描くことを一度やめてしばらく作品制作から離れていたのですが、高校受験の折にもう一度絵を描きたいと思い、芸術系高校へ進学しました。大学へは、高校での作品制作をさらに続けて自己の表現を深めて行きたいと思い進学を決めました。
──大学や大学院ではどのようなことを研究されていましたか。
自己表現の探求に合わせて絵画の平面性を主に利用した制作方法について研究しています。
今まで風景画を主に制作してきましたが、風景画を描いていく過程で、徐々に、単なる風景に興味があるのではなく、この世界に存在する生命そのものに興味があるのだと気づきました。現在では、その生命を、作品にどのように込めるのか日々模索しています。
──作品制作において大事にしていることはなんですか。
その作品ごとに伝えたい内容や主題の軸をしっかりと決めることです。
私の場合、作品制作をしていく中で作品の表情が二転三転することが多々あります。そのときに、伝えたかった内容の軸が弱いと、作品の表情に引っ張られて中身のない作品になってしまうことがありました。それを避けるためにも、予め伝えたい内容はしっかりと決めておきたいのです。
──ご自身で感じている「作品制作の魅力」を教えてください。
作品制作を通して自分自身と対話できるところだと思います。
作品制作をしているとき、様々な感情を味わうことが出来ると思います。自分の好きな物、嫌いな物、楽しいこと、つらいこと、苦しいこと、描きたいと思ったもの、逆に描きたくないと思ったものなど。後になって、これらを俯瞰してみたときに、自分がどのように世界をみているのかなんとなく分かる気がします。
──今後、どのような作品を制作してみたいですか。
生命を一つのテーマに力強い作品を制作したいと思っています。
本来、絵画作品は命のない無機物な絵具を使った物質に過ぎませんが、まるで命があるかのようなエネルギーを発する作品を制作してみたいと思います。その作品の鑑賞を通して、鑑賞者の方々になにか伝わる物があれば、これほど嬉しいことはありません。
──今回の展示で見てほしいポイントなど教えてください。
今回の展示では、私の姉との二人での展示ですので、それぞれの作品に込める思いの違いや共通点を見ていただけると、より作品の魅力が伝わるのではないかと思います。
姉弟での展示は今回が初めてでした。展示に向けての準備を進めていく中で、お互いの作品に対する思いや考えなどが少しずつ共有されていき、私自身、姉弟間の違いや共通点を感じることがありました。
作品解説(展示作品から)
この『植物園』という作品は、筑波実験植物園の温室の中を描いた作品で、植物で溢れるこの空間を生き生きと描きたいと思い制作しました。
熱帯に生息する植物が展示されている空間で、湿度と温度がとても高く、熱帯の植物が所狭しに温室の中を満たしています。そこへ夕日が差し込み植物や温室を照らしたこの空間は、私の目には全てがとても生き生きとしているように映りました。
――お話しいただき、ありがとうございました!
小松原佳織さんのインタビュー記事はこちら
「いつものところ」―小松原佳織・小松原優作 二人展―
会 期) 令和6年9月20日(金)~30日(月)
会 場) スタジオ’S
茨城県つくば市二の宮1-23-6 (関彰商事株式会社 つくば本社敷地内)
開 館 時 間) 【全日】 11:00~17:00 ★9/29(日)のみ、10:00開館
入 場 料) 無料
ギャラリートーク) 9月29日(日)10:00~ スタジオ’S